ショートショート

影響力の餌食

創業三年目のスタートアップ企業、キラキラテック株式会社の社長である出田のもとに、一通のメールが届いた。件名は「社長インタビューのご依頼」。差出人は、『ミラクルビジネスマガジン』というウェブメディアだった。「おお、ついにうちにも取材が来たか!...
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風と共に来ぬ

大学からの帰り道、アキコと並んで歩きながら、私はある違和感の正体を探していた。何かが違う。けれど、何が違うのか、うまく説明できなかった。アキコとは大学に入ってからの友達だ。初めて話したのは、入学したばかりのころ。トイレでハンカチを忘れて困っ...
ショートショート

私は、その男の写真を三葉、見たことがある

太宰治『人間失格』の書き出し、「私は、その男の写真を三葉、見たことがある」という一文から翻案した、ショートショートです。
ショートショート

泊まれない男

男は困っていた。出張先のホテルが、どこも予約できないのだ。平日で、観光シーズンでもない。いつも空室だらけのホテルまで、予約できなくなっている。出張はもう三日後に迫っていた。男は仕事の合間も、帰宅してからも、必死に空室を探し続けた。そしてよう...
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息子の彼女を溺愛する父

父は一流大学を卒業し、大手企業の役員にまでなったエリートだ。自分の経歴に誇りを持っていて、人を見るときも、学歴や職業を気にするところがある。そして、自分の基準にかなう人間にしか興味が持てないらしく、実の息子である僕の話でさえ、いつも適当に聞...
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甘い汁を吸う

元号が昭和から平成に変わって、まだ間もないころ。とある駅の売店前に、一台の自動販売機が置かれていた。コーヒー、お茶、ジュース。どれも一律100円。駅という場所柄、売れ行きは悪くなかった。朝は眠そうな通勤客がコーヒーを買い、夕方には学校帰りの...
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推理作家の稼業

彼が作家として歩むために必要なものは、すべて父親が与えてくれた。父親は一流の推理作家だった。そして非常に仕事熱心だった。朝起きるとすぐに書斎へ入り、トイレのとき以外はほとんど出てこなかった。正月も盆も関係ない。家族旅行に誘っても断り、風邪を...
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『君のクイズ』書評:クイズ番組がヤラセと思っている人にこそ読んでほしい作品

SNSを見ていると、クイズ番組がヤラセだと思っている人がけっこういることに驚きます。疑ってしまう原因は、クイズプレイヤーの思考法を知らないことでしょう。クイズを知識量の勝負だと思っていると、重箱の隅をつつくような問題に答えられるわけないと思...
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メニューの多い料理店

東京の繁華街に、「メニューの多い料理店」という変わった名前のレストランがあった。開店してまだ半年ほどだが、ちょっとした評判になっていた。何しろ、その店では世界中のあらゆる料理が食べられるというのだ。和食、洋食、中華はもちろん、インド料理やタ...
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怪盗コウモリ男

街では奇妙な窃盗事件が相次いでいた。美術館からは数千万円もする名画が消え、資産家の屋敷からは先祖代々伝わる宝石が盗まれた。厳重な警備を誇る銀行の金庫でさえ、被害に遭っていた。いずれの事件にも共通する特徴があった。現場には必ず一枚の黒いカード...