メニューの多い料理店

ショートショート・短編小説

今日は街で評判の「メニューの多い料理店」に両親とともにやってきた。

料理長はどんな料理でも出せると豪語している。

実際に行ったことのある友達の話では本当にどんな料理でも出てきたらしい。

親父はかつ丼を注文した。お袋はパスタを注文した。

なかなか良いチョイスじゃないか。かつ丼とパスタを一緒に出せる料理店なんてそうそう無いからな。

そして俺はさらに厨房を混乱させるためにシーフードピザを頼んでやった。

どうだ、これで厨房は大混乱だろう。

しばらくすると親父の注文したかつ丼が運ばれてきた。

すぐにお袋の注文したパスタも運ばれてきた。

どちらも手抜きした感じではなく、美味しそうである。

実際に二人とも「美味しい」と言って食べている。

俺の注文したシーフードピザはまだやってこない。さすがに注文が意地悪すぎたか?

何分待っても来ないので、親父もお袋も自分の料理を食べ終わってしまいそうである。

そこで俺は店員を呼びつけて、「ピザはまだか?」と確認した。

すると店員は「すぐに確認します」と言って店の奥に消えていった。

しばらくすると先ほどの店員の声が聞こえてきた。誰かと電話をしているようである。

「さきほどシーフードピザを頼んだものですけど、あと何分くらいで配達できそうですか?」

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