神様の存在を信じますか?

ショートショート・短編小説

神様は困っていた。人間たちの信仰心が薄れていたからだ。

特に日本という国は99%の人が神様を信じない国だった。

なんとかしなければと思っていた神様のもとに1人の男が現れた。

「神様、私が日本人の信仰心を高めてあげましょう」

「そんなことが出来るのかね?」

「お任せください。明日この場所に来てください」

そう言うと男はある場所の地図を神様に渡した。

翌日、神様が言われた場所に行ってみるとそこは海だった。

たくさんの海水浴客たちで賑わっていた。

海の家を見るとあの男がいた。男はかき氷を売っていた。

神様は男のもとへと近づいていった。

「君はかき氷屋さんだったのかね?」

「いいえ。これは仮の姿です。そんなことより、もうすぐ皆が神様の存在を信じてお祈りを始めるから待っていてくださいね」

男は自信満々に言った。

しかし神様は本当にそんなことが起こるのだろうかと不思議に思った。

神様が砂浜に座って海を眺めていると1人の女が「神様……どうか……お願いします」と言いながら歩いてきた。

その後もつぎつぎと老若男女が「神様……神様……」と言いながら海からあがってくる。

みんなが神様の存在を信じるようになり、神様は嬉しくなった。

そしてかき氷を売っている男にお礼を言った。

「君のおかげでみんなが神を信じるようになってくれたよ。ありがとう」

「おやすい御用です」

「1つ聞きたいんだが『モレマセンヨウニ』というのはお祈りの言葉なのかね?」

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