復讐の悪魔|意味が分かると怖い話

復讐の悪魔|意味が分かると怖い話

彼女に振られた。
ほかに好きな男が出来たらしい。
3年も付き合ったのに、こんなにもあっさりと捨てられてしまうなんて……

彼女は高飛車な性格だったが、それを差し引いてもお釣りがくるくらいの美貌を持っていた。

今まで彼女のために散々、尽くしてきた。
彼女が欲しいと言った服や靴、アクセサリーは何でも買ってやった。

「彼氏の車でドライブに行くのが夢だった」というから36回払いのローンで新車まで買った。

全て彼女のためだったのに……

今は悲しさよりも怒りの方が大きい。復讐してやりたい。

怒りが頂点に達したとき、急に辺りが真っ白な光に包まれ、一匹の化物が現れた。

姿は人間に似ているが全身が紫色で、背中にはコウモリと同じような羽が生えている。
目は黄色く光り、口は耳まで届きそうな大きさである。

化物は言った「俺はお前の怒りが生み出した復讐の悪魔だ。お前の願いを一つだけ叶えてやる」

普段であれば、こんなおぞましい化物を見たら、驚いて何も言うことが出来なかっただろう。
だが今は彼女への怒りのおかげで何も怖いものなどない。

「何でも願いを叶えてくれるというなら、彼女が一生不幸な人生を送るようにしてくれ」と言った。

悪魔は不気味に微笑みながら「本当にそれで良いのだな。お前の良心は痛まないのだな?」と聞いた。

「かまわない。俺を裏切ったあいつが悪いんだ」

「本当に良いのだな?人間には良心というものがあるはずだが?」

「かまわないと言っているだろ」

「そこまで言うなら良いだろう。彼女に一生不幸になる呪いをかけてやる……」

そう言うと再び、真っ白な光に包まれ、悪魔は消えていった。

今のは何だったのだろう?夢だったのか?それにしては意識がハッキリとしていた。
まあ夢だったとしても、少しは気持ちが治まった。
もう二度と彼女と会うこともないから不幸になったかどうかは調べようもないが……

しかし翌日、驚くことが起こった。
なんと彼女が「もう一度やり直したい」と言って自分の元に戻ってきたのである。
(END)

【解説】

すでに怒りも収まっていた自分は復縁を受け入れることにした。
それになんだか、昨日までの彼女とは違って殊勝な雰囲気である。
今までのことを反省したのだろう。これで少しは俺の言うことも聞くようになるかもしれない。

それから数ヶ月が経った。
俺の予想通り、彼女は今までの性格を改め、俺の言うことを聞くようになった。
今までとは立場が完全に逆転し、彼女は俺に尽くすようになった。

その様子を空の上から眺めていた悪魔は不気味に微笑みながら呟いた。

「立派な暴力夫になれよ……良心は痛まないんだろ?」

彼女はDV夫となった男と一生をともにするという不幸な人生を歩むことになったのである。