とある骨董品店の店主は幻の壺と言われる「オリハルコンの壺」がオークションに出品されることを知りました。
ヨーロッパの美術館から盗まれたあと長い間、所在が不明になっていた壺です。
この店主はどんなに高値でも必ず落札しようと思っていました。
そんなある日「出品される壺は偽物ではないか?」という噂が流れました。
というのも同じ日に別の会場で行われるオークションにも「オリハルコンの壺」が出品されることになったからです。
本物と偽物の見た目はソックリです。違いを見分けるには両方を落としてみる必要があります。
「オリハルコンの壺」は幻の金属で出来ているのでどんな高さから落としても割れるどころか傷ひとつつかないのです。
同業者の間でもどちらが本物なのか見当のつく人はいませんでした。
しかしこの店主は無事に本物の「オリハルコンの壺」を手に入れることが出来ました。
それも想像していたよりもかなり安くです。なぜでしょうか?
オークション会場で「その壺を落として見せろ」と言ったわけではありません。
協力者が1人います。
2つの壺を落札したから。
誰かに頼んで、もう一方のオークション会場に出品された壺も落札してもらいます。
2つを手に入れたところで落として割れなかったほうが本物ということになります。
またオークション参加者はどちらが偽物なのか分からないため、慎重になってしまいました。
そのため値段がそれほど上がらず安く手に入れることが出来たのです。